ケイカ -桂花-
キンモクセイ
なんとなくぼんやりと、ただ日付だけが変わっていく数日を過ごした。

予想通りだが、学校でDとは何事も無かったみたいに、接している。

2人きりになったとしても、宗教にも宮崎にも触れることは無い。

ケイの部屋にも店にも数回行ってみたが、あの日から何も変わっていないのを見るのが嫌で、すぐに止めた。

宮崎とはあの屋上での話以来、会っていない。

メールも電話も来る事はなかったし、私からもしていない。

好きだという想いは、確かに私の中に残っているけれど、宮崎が宿命だと言ったインチキ宗教は、どうしても受け入れられない。

あの中でしか生きられない宮崎と、受け入れられない私。

私達2人には未来がない。

もし宮崎が私の事を本当に好きだとしても、それは変わらない。

そして宮崎も、多分、私達に未来がない事を分かっている。

だから何も言わずに消えた。

宮崎にとって私は特別だった、そう思いたい。

少なくともDやマミとは違う。

好きっていう恋愛感情かどうかは分からないけれど、何か特別に思ってくれていた、と思う。

そう思うことで私は随分救われた気がする。

だけど、私がそう思う事さえも、宮崎の作戦の延長上にあったのかもしれない。

もう確かめる方法すら無い。
< 192 / 219 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop