蝶々結び
明日から夏休みだからなのか、教室内はいつもよりも落ち着きが無い。


皆でどこかに遊びに行く計画を立てたり、恋愛の話だったり…。


教室のあちこちで、浮かれた声が飛び交っていた。


「残念だね……。七星が田舎に行かないなら、夏休みもいっぱい遊べたのに……」


優子は大きなため息をつきながら、心底残念そうにあたしを見た。


「うん……。あたしも優子と遊びたかったな……」


田舎に行く事を嫌だと思った事は無いけど、今回ばかりは惜しい気持ちになった。


「ねぇ!七星の田舎って、どんな所なの?」


そんなあたしに、優子が笑顔を向けて来た。


「あたしのじゃなくて、お母さんの田舎だよ」


「そんなの、どっちでもイイんだよ♪」


あたしが訂正すると、優子は気にしないと言う表情で笑った。


田舎、ね……


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