芽依を降ろして、どこか苦しい気持ちを抱えながら。

芽依の残り香をまだ感じられる車内にいると、今すぐにでもひきかえして俺の腕の中に彼女を連れ戻したくなる。

できれば、会社になんて行かずに一緒に過ごしたかった。

俺の部屋を出る直前、芽依から重ねてきた唇の感触がまだ気持ちを疼かせる。

滅多に芽依からそんな積極的な事をしないのに、今日に限ってどうしてなんだ。

何かあったのかと、絶えず不安が俺の心を覆う。

芽依が俺の部屋を一旦出かけてから戻ってきた時の苦しげな目も、俺の記憶にはっきりと残っていて、忘れられない。

まるで俺に助けを求めて駆け込んで来たように、揺れていた芽依の瞳。

最初は高橋専務と何かあったのかと、無意識とはいえ意地の悪い気持ちになって、俺から出る言葉も芽依の気持ちを痛める針にしかならなくて。

それがわかっているのに、傷つける言葉は止まらなかった。