すべての、始まり。~貴方しかイラナイ~
旧知の間柄ゆえに。



社会に出て数年…、まだまだ未熟者だと実感させられてはいるが。



毎日バタバタと慌しく、それでも充実した時を送っていると思う。



アイツが正式に入社してからは、なおさらかな・・・





コンコン――

部長室の重厚な扉をノックする音で、仕事の手を止めて顔を上げると。



「はい、いいよ」

返事をして入室を許可すれば、ガチャリと音がしてドアが開かれた。




「お忙しいところ、失礼いたします。

桜井部長、社長より預かり物ですのでお願いいたします」


遠慮がちに入室して来たのは、アイツの愛しい女の子。



もとい、社長秘書をしている佐々木 蘭ちゃん。




「佐々木さん、ありがとう」



何も知らない彼女に、馴れ馴れしくは出来ないが…。



いや、アノ男がまたヤキモチを妬くだけだろうし・・・




< 70 / 79 >

この作品をシェア

pagetop