この世で一番大切なもの
第七章
俺は心を鬼にした。

どんな女ともセックスした。

全ては売り上げの為、金の為。

顔を見ていられないほどのブスとも寝た。

中年の腹がたるんだババアとも抱いた。

最中に萎えそうになるものを、違うことを想像して奮起させるのにも慣れた。

愛のないセックスをするたびに俺はひどく悲しみを感じた。

そして汚れていく気がした。

金の為だったら何でもやってやる。

俺は人間の大切なものを捨てたんだ。

ホストの世界で成功しなかったら自殺しよう・・。

そう思った。

レイヤに教わったおかげで、ホストの世界で、色恋、といわれる女と付き合って金を使わせる行為もできるようになった。

もちろん本当に好きではない。

客に彼女だと錯覚させて金を使わせるのだ。

トップホストになると、色カノと呼ばれる、色恋をかけている女が五人以上もいる。

ただの客ではホストに多額の金は貢がない。

客ではなく彼女なら、男をなんとか助けたいと思うものだ。

良心につけこんで金を使わせる。

募金詐欺、振り込め詐欺となんだ変わらない非道な行為。

俺はその悪の行為をやってのけていた。





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