この世で一番大切なもの
第一章
ナオを殺してから四年後、俺は刑務所から外の世界に出てきた。

当時十七歳の高校生なのと計画性のない衝動的な犯行ということで、殺人という最高の犯罪をやっておきながら、たった四年で出てこられたのだ。

だが、新聞、テレビ、週刊誌などで報道されるほどの事件を起こした人間に社会は冷たかった。

未成年なので名前と顔は表に出なくても、噂は広まってしまう。

インターネットで検索すれば、匿名の書き込みで俺の名前はさらされていた。

多くの人が、俺がどういう理由でナオを殺したというのとは関係なしに、ただの残酷な人殺しというレッテルで見てきた。

今まで仲良かった友人に街であっても無視をされたり、まるで悪魔でも見るような顔をされた。

殺人をした言い訳もあったが俺は反省していた。

ナオの命を奪ってしまったことには変わりないからだ。

命は戻らない。

だが、俺の反省した気持ちや、更生しようという気持ちなんて全く伝えられなかった。

四年の監禁生活で償ったことにもされなかった。

俺は周りから蔑まれた目で見られる、そんな暮らしに耐えられなかった。

仕事もしなければならない。

家を出たくてしょうがなくなった。

俺は寮がある職場を探すことにする。

なんとしても真っ当に生きなくてはならない。
























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