気付けば溺愛
「……どういう事だよ。見合いって」

え…?
両手を拓真に押さえ付けられて、何が起こったのかわからないまま見上げると、怒っているのか悲しんでいるのかわからない拓真の瞳。

「なんで見合いなんてするの?」

「そ…そんなの拓真に関係ない…」

「関係ない…?」

さらに体を密着させて詰め寄られて、心臓の音だけが私の中で暴れている。

拓真の顔が私に近付いてきて、混乱は最高潮。
顔を背けて視線を合わせないようにするけれど、それを許してくれる事はなかった。

「こっち見ろよ」

「……」

いつもふざけた会話で私を振り回していた拓真の声とは思えない。無理矢理視線を合わせると、目の前には気持ちの読めない瞳。

…と思った途端。

唇に感じる温かい怒り。
< 21 / 38 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop