恋めぐり
オウリの心の奥はどうしてか見えない。

本当に映画を見ている感覚に似ている。

「直江、やっぱりここか」

「土方くん」

映画の様に土方くんは私を呼びにくる。

「会議だ。来いよ」

私はまだ臨時の風紀委員のままだった。

先月のライブを土方くん達に見られて、罰を延長された。

「風邪ひくぞ。早く来い」

土方くんの隣を歩いて風紀委員室に向かう。

相変わらず男臭い部屋だけど大分慣れた。

「直江先輩、良いもの持ってますね?」

秋田くんが私のタンブラーに気づいて手を伸ばした。

「紅茶だよ」
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