「お前も命を狙われてるんだぞ!わかってんのか!?」

村儀の言葉が耳に痛かった。どんな理由があったにせよ、あの時点で殺されていてもおかしくはなかったのだから。

「おい、命を狙われてるって…どういうことだ?」

巧が目を大きく見開いた。


あ、まず…


「さっきはそんなこと、一言も言ってなかったぞ!?」

「ご、ごめ…その、余計な心配かけたら悪いなって思って」

「余計なってなんだよ。心配かけるくらい何でもねーだろ!」

巧が真剣な表情で唯をにらみつける。

「…知らなくて、手遅れになって、後から知ったほうが、よっぽど後悔するし、つれーんだぞ」

巧が俯いた。

「ごめん…」

深く考えていなかった。本当にただ、心配をかけちゃ悪いと思ってただけだった。

「まだ、お前が死んで悲しむ人間がいることを忘れるな」

村儀に言われ、返す言葉も無い。

「命を粗末にするな。なにより、亡くなったご両親の存在を証明することができる、唯一の存在がお前なんだ」

村儀の言葉がずんと重く響いた。

「お前がそこまで焦る理由は一体なんだ」

村儀に言われて、唯は紅い蜘蛛との電話の最中に、母親の声を聞いたことを告げた。

「何だと…?母親の声を?」

言われて頷く。

「そんな馬鹿な。お前も母親の遺体を確認したはずだ」

言われて困惑する。

「私も、そこが引っかかったんです。確かに、あの顔はお母さんでした。それは、間違いないです。でも」

確かに電話越しに聞いたあの声は、母親のものだった。今まで生きてきた15年間。ずっと聞き続けていた声なのだ。間違えるはずがない。

「確かに、電話越しに聞こえてきた声も、お母さんの声だったんです」

この作品のキーワード
怪盗  FBI  高校生  先輩