現場検証を終えた村儀が、居間にやってきた。開口一番、出てきたのはため息だった。

「とりあえず、まずは話を聞かせてもらおうか」

言われて、唯は全てを話した。警察署を出てからのことを全て。包み隠さずに。


「…不審な物音や人物は見かけたか?」

唯は首を振る。

「こんなことをされる心当たりは?」

それこそ皆無だ、といった風に、唯は首をふった。

「どうして俺に電話をした」

村儀の言葉に、唯はなんとなく、とだけ答えた。

「なんとなく、か。その割には、紅い蜘蛛の名前を出してきたのはなぜだ」

「…なぜって…お父さんの首のところに、赤い蜘蛛の印があったから。そのとき、村儀さんの言ってた言葉を思い出して」

聞かれて唯は表情を変えることなく淡々と答える。

「最初にうちにきてた警察の人は、無理心中だとか訳のわかんないこと言ってるし。こんなんじゃ犯人捕まえられないと思ったの」


村儀は黙って、唯の言葉を聞いていた。


「…それより、紅い蜘蛛ってなんなんですか?教えてください」

唯に聞かれて、村儀は少し考え込む。

「まぁ…さすがにこの状況じゃ、説明無しって訳にはいかねーか」


頭をぼりぼりとかきながら、ふぅ、とひとつ息をついた。

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