キミは許婚


あたしが腹を立てていると、あたしたちの様子を見ていた母が口を開いた。



「明? そんなに怒らなくてもいいじゃない? とりあえず遊ぶだけでも……ね?」


「う~……」


「お父さんの立場もあるし……あんな完璧な人と付き合えることなかなかないわよ~?」


「……お母さん……わかってないよ……」



外面は完璧だけど、素はやりたい放題の人間なんだってば!!



「それにお母さん、あんなイケメンが息子だと嬉しいもの~」



お母さん、そこ!?


最後の言葉が一番気持ち入ってた気がする。



「もう! 誰もあたしの気持ちなんてわかんないんだから!!」


「明!」



父と母が止めるのを振り切り、あたしは家を飛び出した。
< 62 / 533 >

この作品をシェア

pagetop