キミは許婚
飛び出して5分後、あたしは隣の家の前に立っていた。
幼馴染の里中哲太の家だ。
あたしの家が無駄に敷地をとっているために全力で走っても5分はかかる。
家のベルを鳴らすとすぐ、日に焼けて色素が抜けた短髪が現れた。
「おぉ、明じゃん。どうした?」
「……哲太……」
哲太はクリクリした目を細めていつもの明るい笑顔で迎えてくれる。
その笑顔にさっきまで聖や両親に対する怒り、理不尽さにギスギスしていた心がスッと癒えていくのがわかった。
「お邪魔していい?」
あたしの突然の訪問も、哲太は嫌な顔一つ見せず二つ返事で答えてくれた。