吸血鬼と紅き石
第二章

青年

次の日の朝。

小鳥の囀りにリイエンは目を覚ました。

ベッドに差し込む優しい日差し。

爽やかで暖かな空気が、そのままリイエンを包んでいるように思える。

ゆっくりと身体を起こし、リイエンは瞬きをした。

「ここは…」

ぼんやりとした頭のまま部屋を見渡して、不意にリイエンは納得する。

(父さんは、死んでしまったのだった)

そう思い出した途端、じわりと目頭が熱くなる。

あんなに泣いたのに、まだ涙は枯れてはいないようだった。

だがただ悲しんでいるだけでは、何も始まらない。

リイエンは手の甲でぐい、と涙を拭った。

< 25 / 263 >

この作品をシェア

pagetop