【連作】そらにかなでし〜平安朝禁断恋草紙③〜
さて、思いもかけずに市井にお見出しなさったこの少女を、一の君は、たいそう不憫に思われるのでした。

住まいひとつにしても、幼い姫君が住まうには荒れ果てて、あやかしのものの住まうにこそ相応しいほどの有様であったので、

(私で何かしら助けになればよいのだけれど……)

と、このようにお考えになるのでしたが、まだ元服もお済みでない子どもの身ですので、たいしたお力にもなれないように思われて、深々と息をおつきになられます。
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