王子様の、花嫁探し。




「ちょっと!なにやってんのよ!」

あたしは割りこんで、
真ん中の子を突き飛ばした子に同じことをやり返した。




「いたっ!何すんねん!」

「あんたたちこそ何すんのよ!
 人のこといじめてんじゃないよ!」

「よそ者が口だすなや!」

「よそ者でもなんでいいけどさ、
 いじめるなんて最低!」

「かぁちゃんにチクってやる!」

男の子が半分泣きそうになってる。


「何よ?男でしょう?

 お母さんに言いたければ言えば?」


「覚えてろよ!」

覚えてろよ、だって。
ふん!

負けものが去っていくときに吐き出す台詞。


男の子達は走っていった。




「....くすんっ...」

男の子はまだ泣いてる。


「...はい」

ポケットに入ってた
ハンカチを取り出して差し出す。



「...くすんっ..」

男の子は顔を上げた。


可愛い顔をしてる男の子だった。


「...がと....」

「え?」

「....ありがとう....」

少しだけ、
表情が柔らくなった。



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