旦那様は社長 *②巻*

しばらく抱き合っていたあたしたち。


こんなに満たされた気持ちになったのは、いつぶりだろう?


「光姫ちゃん……」


宮下先生に名前を呼ばれ、あたしと社長はゆっくり体を離した。


「今が一番大事な時だから、無理はしないで。あと……貧血がヒドイから食生活も気をつけるようにって、佐伯先生が言ってたよ」


「佐伯先生が?」


「今ちょうど、出産に立ちあっていて挨拶できないから伝えてくれって頼まれたんだ」


「そうですか……」


「また明日にでも診察に行ってみてよ。もっと詳しくアドバイスもらえると思うから」


それだけ言い残すと、宮下先生は「またね」と言いながら病室を後にした。


そして……


ピシャンとドアが閉まったことを確認すると、社長があたしの後頭部をグイッと引き寄せ、唇を重ねた。


「…んっーー…」


久しぶりのキスが、何だかとても甘く感じて。


お互いの気持ちを絡めとるように、深く……深く口づけた。


“きっともう大丈夫”


この時は本気でそう思えたのにーーー…




……どうして神様はあたしたちに試練ばかりを与えるんだろう?


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