旦那様は社長 *②巻*


「子供が生まれるまで、家政婦雇ってもいんだぞ?お前が無理することないんだから」


「イヤよ、そんなの。あたしはね、普通の妊婦さんと同じ環境でこの子を生んで育てたいの」


「……なんだよ、普通の環境って」


「普通の家庭は、妊娠中も家事やったり仕事したり……そういうこと、当たり前にやってるの」


そりゃあ、これから悪阻が酷くなったりしたら、誰かの助けが必要な時もあるかもしれない。


本来なら、実の母親に助けてもらったりするんだろうけどーーー……


あたしの両親も悠河の両親も、もう亡くなってるから……だから、あたしたち2人で助け合っていかなきゃいけないのよね。


「お前の気持ちは分かるけど……お前が生むのは有栖川の跡取りだ。それに、普通の家庭以上の精神的ストレスもお前に降りかかってくるだろ?」


「……分かってるよ?」


「だからオレは、お前に家庭でまで余計な負担をかけたくないんだ……。この家の中だけは、お前が寛げる空間であってほしいって……オレは思うよ」


「悠河……」


社長はゆっくりとあたしに近づき、頬に優しくキスをすると。


そのままあたしを抱きしめた。



< 124 / 409 >

この作品をシェア

pagetop