旦那様は社長 *②巻*
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「おっと!危ねぇ……。光姫、やっぱお前、まだ無理」

「大丈夫!!」


悠河の車から降りた途端、フワッと身体が宙に浮いた感覚に陥り、危うくそのまま倒れかけた。


ドアを開けてくれた悠河が抱き留めてくれたおかげで、大事には至らなかった。


「光姫ちゃん」


名前を呼ばれて振り向くと、久々に会う藤堂さんが会社のエントランス前に立っていた。


コツコツと低い靴音を響かせながら、あたしたちの方へ歩いてくる。


「悠河の言う通りだよ、光姫ちゃん。今は身体をゆっくり休めた方が……」


会社の中で、藤堂さんと敬吾だけが今回の出来事を知っている。


勝手に病院を抜け出して、一條夫妻にまた救ってもらって。

悠河と心で触れあって、再び病院へ逆戻り。


「まだ2週間だよ」

「十分です」

「光姫ちゃん……」

「あのまま病院にいたって……傷は癒えませんから」


病院にいたら、よけいに立ち直れない気がしたんだ。


ずっと婦人科病棟にいた。

少しずつ歩く練習をしていたら、自然と目に入ってくる光景。



……──赤ちゃんを腕に抱いて、幸せそうに微笑む夫婦の姿。


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