硝子の靴 ~夜帝の紅い薔薇~少女A~
高校進学
中学生生活の三年間は、あっという間に過ぎた。

七海 龍星は、自分が思っている意思を私に言うことはなく、私にさせたい仕事の話や店の名前は全く言わずに、時々、私と会っては、自分の会社のことや新しく店に取り入れたことなど、自分の会社の仕事の話を、私に話して聞かせた。

彼の話は、初めて耳にすることばかりで、まだまだ子どもの私には、意味の理解できない言葉もありつつも、新鮮で、私は、彼の話を吸収していった。

そして、彼は、勉強ばかりで疲れているだろうと言って、私をドライブに連れて行ったり、食事に連れて行ったりした。

私は、高校受験へ向けて、勉強に力を注いだ中学校生活を送り、行き詰まった時には、親友の絵里菜と図書館へ行ったりして、振り返ると、三年間は、あっという間だった様に思う。

高校も、両親が要望した学校を受験し、私は、見事、合格を成し遂げた。

私は、親孝行だと思って、そうした。

両親は、大変喜んだ。

高校の合格パーティーは、中学の合格パーティーの時とは違って、盛大に行われた。

たかが、私の高校の合格パーティーだというのに、両親はいろんな人を呼んだので、ご近所さんから、父の外交官仲間、母のプロの執筆仲間まで、沢山の方々が、我が家に訪れた。

私は、驚愕と同時に、呆然となる。

解放感のある一階の広いスペースに、様々な食事や飲み物が用意され、父の上司の乾杯の声で、パーティーは始まった。

「日和ちゃん、おめでとう」

「有難うございます」

「おめでとう。日和ちゃん、大きくなったわねぇ。綺麗なお嬢さんに成長されて」

両親の知人達から、次々にお祝いの言葉を頂き、私は、丁寧にお礼を言った。

皆、各々に、歓談をしたり、ビュッフェ方式に用意された食事をしたりして、和やかな雰囲気だった。

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