★★★★★
大切に読みたい
一晩一晩、じっくりと時間をかけて、大切に読みたいと思った。
物語は長くなく、目を見張るような激しさは、作者が見事に陰らせている。その言葉選びが作品をさらに練磨していく。まるで、水晶を磨きあげるような。本当なら人は、たったこれだけの出来事で気も狂えるというのに。激しさは、さざ波で連れ去られるように、沖の彼方。
狂うよりもくるくる回るワルツのように、夜な夜な物語は更けてゆく。醒めてほしくない夢を見ているのは、彼らか、それとも読者か。ああ、そう、両方だ。
綺麗な物語。じゃないかもしれない。むしろ、汚いものを見ないようにする、都合のいい話かもしれない。
でも私には、なんて儚い光を放つ物語だろうと、一抹の背徳感をページをめくるごとに飲み込んでいた。
一日で、少しの時間で読める。だけど、この水晶のつるりとした手触りを、目を閉じてじっくり味わってもらいたいと思う。できるなら、何日もかけて。
紅 憐
09/11/03 14:12

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