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特別ではない……
秋から冬に掛けて、ふと感じる陽射しのありがたさ……
そんな感情の動きを思い起こさせてくれる作品です。

それは背徳の時間だ。

この書き出し、この一文を読んだ瞬間、私はこの作品に惹き込まれた。
この野いちごで出逢った作品中、一番の書き出しだと思う。
この一文から全ての者は物語の世界へ引き寄せられ、あっという間に読み終えてしまった事を後悔し、何度も最初の頁へ戻るであろう。
そして読み返す度に、それぞれが気持ちをゆらめかす。

特別な言葉が、文章が、台詞が、大命題的メッセージがある訳ではない。全てがリアルな感情で満ちている。作者の血が流れている。
この事の凄さを、是非感じて欲しいと思う。

純文学の香りを嗅いでみたい方、如何ですか?
お奨めです。
稲葉禎和
10/12/17 01:01

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