きみとベッドで【完結】

◇泡沫‥‥sideSIKI

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この胸の喪失感はなんだろう。



あたしははじめから、


なにも持っていなかったはずなのに。



幹生の部屋のベッドで、天井をじっと見つめながら考えた。


そして気づく。



あたしの心にはまだ、


大切な思い出が雪みたいに真っ白なまま残っていたんだ。



あの雪の降った日。


人の優しさと温かさを知ったあの日。



なにより大切に心の奥底にしまっておいた記憶。


それが雪に埋もれていくように、見えなくなっていった。



気づけば頬が濡れている。


そんな状態が続いていた。



あの、悪夢のような光景を目にしてしまってから。


先生と姫衣の、キスを見てしまってから。

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