クリ-ミ-ココア
「その癖直せよな」


「直せったって…癖だもん無意識だよ…」



痛いヵ所を触りながらプリンの容器を見つめる。



プリン好きなのに食べれないこのもどかしさ…


スプーンさえあれば。



「こっち向けよ」



言われるがままにあいつの方を見ると手を退かされそのまま顔を近づけてくる。


おまじない……



傷口を包むようにあいつは優しく唇に触れてくる。



私の意識はもうプリンより傷口へ……


唇に注がれる感触で頭がいっぱいになった。



「お前の口はいつも甘いな」



甘いのが嫌いな目の前の男。



眉間にシワを寄せながら私から離れる。



口調は悪いけど今の私は幸せな気分だった。
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