垣崎さんに促され、席についたあたしの目の前にボーイさんが来て、テーブルに置かれたグラスに水を注いでくれた。

 それからメニューを見せてくれて、料理は何がいいかと聞いてくる。

 朝食なのにコースになっていて、スープやサラダ、メインディッシュをそれぞれお好みで選べるものだった。

 さっきまでは、とてもご飯なんて入らないだろうと思っていたのに、レストランに入って人が食べているのを見た途端、急にお腹が鳴るんだから、つくづくあたしってゲンキンだなぁ、と思った。

 結局、メインディッシュはスクランブルエッグとベーコン、それにコーンスープとミモザサラダのドレッシング抜きを頼んで、飲み物は温かいミルクティをお願いした。

 ボーイさんがまた丁寧に礼をして去ったけど、ボーイさんたちは他のお客さんにも同じ様にしていたのを見たから、今度はそんなにかしこまらずに済んだ。

 あたしに気を遣ってくれて、向かいの席に座ってくれていた垣崎さんは、ボーイさんが去るのを見届けると腰を上げた。

 え? 行っちゃうの? 垣崎さん。

 あたしの不安な気持ちが顔に出ちゃったのか、垣崎さんは穏やかに笑って言った。

「わたくしは仕事に戻らねばなりませんので。島谷様のことは大方の従業員は知っておりますから、何かありましたらお名前を仰って頂ければ、すぐに対応致します。

わたくしの名を出して下さっても構いませんので」

 では……と、恭しくお辞儀して垣崎さんは行っちゃった。

 大方の従業員が知ってるって、一体どんな知り方をしてるって言うの!?

 うぅ……不安。しかも、こんな広い部屋にボーイさんと二人っきりなんて、物凄く気まずいんですけど!

 それでも空腹には勝てなくて、運ばれてきたコーンスープをすぐに飲み始めた。

 思わず唸っちゃうほど、美味しかった。


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