車は東京湾を横目に、湾岸線を都心に向かって走ってる。

 うーん、ベイエリアのリゾートホテルなんて、きっと普通の部屋でも高いんだろうな。あそこの部屋代って、ホントいくらだったんだろう。

「はぁ……」

 思わず溜め息が漏れた。ヤバイと思って慌てて口を押さえたけど、はっきり言って遅いよね。

「なんだ? さっきから景気の悪い溜め息をしてるな」

 運転している篠宮さんは、前を見ながら声を掛けてきた。いやもう、あたしのことは放っておいて下さい、って言いたい。

「だって……あたしなんかをあんな部屋に泊めて、良かったんですか? あたし、あんなところ払えません」

「お前に払えとは、一言も言ってないだろうが。俺が勝手にしたことだ」

「でも……」

 あたしは膝の上に置いてある鞄の肩紐を、意味もなく手でいじった。本当、こういう時って手持ち無沙汰になっちゃうよね。

 ちょうど朝のラッシュと時間が重なって、道路はかなり渋滞してる。さっきから、ノロノロ走っては止まって……の繰り返し。

 あぁ……早くおうちに帰りたい。


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