「ふぅ、これでいいかな?」

 戦々恐々としながらもシャワーを浴びたあたしは、パウダールームにあった化粧水を使わせてもらい(これがまた、有名高級ブランドの高価な物だった)、化粧直し用に持っていたメイク道具で簡単に化粧をして、部屋に戻った。

 バスローブなんて、生まれて初めて着たよ。タオルなんて使いたい放題みたいな数があったし、なんと下着まで置いてあるのには驚いた! 

 エジプト綿100%のもので、これまた高級ブランド物。このブランド、パンツなんかも作ってたんだって、妙な感心しちゃった。

 シャンプーまではとても出来なかったから、髪は持参の櫛で軽く梳いただけ。アパートに戻ってから、のんびり洗えばいいよね、うん。

 それから、クロゼットに掛かっていたスーツを出して着た。ちょっとヨレッとなってたけど、皺くちゃにはなってない。

 一体誰がこんな親切なこと、してくれたんだろう? あたしじゃないよね、絶対。

 まぁいいか。今はそんなことよりも、ここの部屋代の方が気になる!

 あたしは急いでバッグの中の財布を確認した。クレジットカード会社の家族カード、ちゃんと持ってた。

 これなら、なんとか大丈夫だよね。お父さんには、正直に話して許してもらおう。

 …………あれ?

 昨日あれだけ飲んだのに、まだ諭吉さんと樋口さんが、一枚ずつ入ってる。

 …………確か、昨夜みんなと飲みに行った時は、諭吉さんが2枚だったはず。割り勘で一人5千円払ったんだよね。

 二次会は、加奈子たちがあたしに気を遣ってくれて、奢ってくれた。その後、一人でバーに入ったのに……なんで全然減ってないの?

 まさか、まさか! 無銭飲食!!??

 ひぇ~~~!! どどどど、どうしよう!

 あたしお店の名前なんて、覚えてない! あれ、どこだったったけ!? 

 …………ダメだぁ、全然思い出せないよ! 大体、何を飲んだかだって記憶に無いのに。

 お父さん、お母さん、ごめんなさい。響子は生まれて初めて、無銭飲食してしまいました。



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