とある男女の攻防戦


「麻夕さんその足どうしたんですか!?」



カランカラン、と





ドアにつけた鈴が鳴ったかと思えば。





ガラスドアを向こうから押して入ってきた今日最後のお客さん――


OLの麻波ちゃんが驚いた顔で近寄ってきた。


くじいてから毎日、店長に始まり次々とやってきたお客さんに一番に言われて


私は苦笑しながらチラっと足を見る。




いつもはスカートにタイツ、

そしてブーツと言ったコーディネートが多いのだけれど。


ここ2、3日は久しぶりにジーンズ。


そして足首にはシップを貼って包帯。




「ちょっとくじいちゃって」

「骨……ですか?」


「ううん、分かんないけど腫れがすごくて」








「えっ、ちょヤバイですよこれ。見てすごく腫れてるって分かるじゃないですか!」



「うん……」




時間が経つにすれ腫れていることは自分でもうんざりしてしまうほど自覚している。

くじいた日、帰ってすぐに冷やし始めたけれど



その効果も全くと言っていいほど意味が無く腫れていく足首。


おまけに内出血のように紫色に皮膚が変色してきて


自分の足だけど


気持ち悪くて思わず顔を歪めてしまったほど。

痛みも腫れに比例して増してきて


夜も冷やしているけれど痛くて寝れなくて。家の中の短い距離でも動くのがつらくて。

でも、さすがに

くじいたくらいで仕事を休もうとは思わず。

手帳を見れば予約もびっしり。

足を動かさなければいけない仕事でもないし

通勤だけどうにかなればなんとかなる……と来て仕事はしているけれど。

痛みは引いてくれそうに無い。

それどころかまだまだ増している。



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