斎宮物語

御小座敷で、上様を待つ。

シャラン、シャラン、シャラン…。

凛とした鈴の音が、大奥に響き渡る。

その音と共に、上様が御錠口をぬけ、御鈴廊下を歩き、この御小座敷へ…。

「斎宮!」

「え?」

まだ少しかかると思って、くつろいでいたのに、上様はいま、私の目の前にいる。

どういうことか分からず、ぽかんとしている私を、上様は抱きしめた。


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