KISS OF LIFE
その距離は寸止めだ。

こっちが唇を突き出したらキスができるかも…なんて言うのん気な妄想は、とりあえず置いておこう。

「あっ、えっと…」

ヤバい…行動したのはいいけど、言い訳がない…。

「し…仕事しま、しょう…」

どうにか考えついた言い訳はこれだった。

あたしは一体何をしているんだ。

こう言うのを、ヘビの生殺しって言うんだよね?

自分の行動にあたしはへこまずにはいられない。

南野課長はあごから指を離すと、
「そうだな」
と、背中を見せた。

は、はにゃ?

あっさりと、南野課長は資料室を出て行った。

怒っては、ない?

何だかよくわからない南野課長の行動に、あたしはキョトンとしているだけだった。
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