KISS OF LIFE
「ねえ、聞いて!」

あたしを待っていたと言うように、七海が話しかけてきた。

「どうしたの?」

「南野課長、熱愛!」

聞いた瞬間、あたしの胸がしめつけられた。

「昨日課長が女の人と一緒にジュエリーショップを出て行くところを目撃したんだって」

「へえ、誰が…?」

「中原先輩が買い物帰りに見たんだって」

「ふ、ふーん…」

「お相手は黒髪ストレートのかわい子ちゃんですって」

黒髪ストレート、その特徴に間違いはなかった。

「2人でジュエリーショップに入ってったってことは、課長も結婚間近かも!」

両手を合わせて言う七海を、あたしは黙って見ていることしかできなかった。


昼休み、あたしは屋上に1人でいた。

「はあ〜」

おにぎりがのどを通らない。

思い出すのは、あの日の出来事。

あたし、浮気されてたんだな。

そう思ってため息をついた時、
「よっ!」

誰かに背中をたたかれた。

「金田くん」

「何しけた顔してるんだよ」

金田くんがあたしの隣に並んだ。
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