粉雪2-sleeping beauty-
俺の為に生きていてくれたなんて、知らなかった。


それを聞いたのは、ずっと後だったよな。



お前は俺の幸せを望んでたのに。


でもな?


やっぱり俺は、お前とが良かったんだ。



きっとお前は、俺の幸せを見届けたら、独りで死ぬことを選んだんだろうな。


だから、せめてもの償いがしたかった。




俺のことなんて心配しなくても良いよ。


俺は少なくとも、お前らよりは強いと思ってるから。




『…隼人の温もりを忘れそうで怖いの…!
毎日毎日、少しずつ消えていくの…!』



そんなモンなのかな…。


お前がそう言うなら、間違いねぇかもしれねぇな。



俺もお前の温もりを、忘れる日が来るのかな…?


そう考えると、ちょっと寂しいな。





あれから、二人で支えあって生きてきたよな。


お前はいっつも、意識的なのか無意識なのか、

良くも悪くも“隼人はね?”って話ばっかだった。


忘れるのが怖かっただけなんだよな。


何も気付いてやれなかった。



突き放すつもりはなかったんだ。


結果的に、俺がお前を追い詰めたことには代わりない。


どうやったら俺は、お前を幸せにすることが出来た…?


もっと別の、ちゃんとした形があったのかもしれねぇな。



中学ですらロクに行ってねぇからさ…。


こんな頭じゃ、何も思いつかなかったんだ。


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