粉雪2-sleeping beauty-
何度目かの煙を吐き出した後、真鍋が口を開いた。



『…いい加減、教えてくださいよ…。
千里ママと社長、何があったんすか?』


「―――ッ!」


本当に、てめぇはお節介ヤローだよ…。


昔の俺みたいで、何だか気に入らねぇ…。


…隼人さんも俺のこと、こんな風に思ってたのかな…。



「…今は、何も言えねぇ…。」



アイツを好奇の目に晒す事なんて出来ねぇよ…。


折角静かに暮らしてるんだから…。



『…でも、このに街来る前から知り合いだったんしょ?』


最後の煙を吐き出し、灰皿に押し当てる真鍋の手元に視線を落とした。



「…アイツは、俺の兄貴分だった人の女なんだよ…。」



“女だった”とは言えなかった。


結局俺の中でもやっぱりアイツは、“隼人さんの女”なんだよ。



『―――ッ!』


瞬間、真鍋は目を見開いた。


そして、戸惑いがちに聞いてくる。


『…じゃあ、社長…。
こんなに頻繁に連絡なんか取り合ってたら、ヤバいんじゃないんすか?』


「…別にヤバくねぇよ…。」



だってあの人は、死んだんだから。


呪い殺される心配だってねぇよ。


だって俺なんかに来て欲しくねぇだろ、あの人。


殺すなら、先に千里を迎えに来てるよ…。



「…お前なんかが聞かない方が、身の為なんだよ。」


念を押すように言い、勢い良く煙草を灰皿に押し当てた。



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