粉雪2-sleeping beauty-
X'mas
結局、何も買えずに迎えたクリスマス。



―バタン!

『―――おまたせ♪』


コートで身を包み、千里が乗り込んできた。


そして、勝手に俺の煙草を抜き取って火をつける。



「…どこの美人が車に乗ってきたのかと思えば、お前か…。」


少しだけ笑い、同じように煙草を咥えた。



『…マッちゃん、飲んでるの?
それとも、ヤバい薬でもヤってる?』


俺の言葉に、千里は口元を引き攣らせた。


サングラス越しに、千里の顔が近づく。



『変なの~。
何か、マツらしくない。』



“俺らしい”って何だろう?


たまに、わからなくなる。


千里が言うように俺が変わったのだとしたら、

“俺らしさ”がどんなものなのかわからない。



「…お前、髪型変えた?」


『あっ!わかる~?
クリスマス仕様なの♪』


急に笑顔になる千里は、やっぱり普通の女の子なのだろう。


今日は天使みたいなクリンクリンの頭を、嬉しそうに指で巻いていた。


目元にはラメが輝いていて、デカい目を一層際立たせている。



“時間掛けたんだろうなぁ”なんて思うと、少しだけ嬉しくなった。


いつもは俺と同い年くらいに見えるのに、中身はやっぱり21だ。




「じゃあ、飯でも行くか!」


言葉と共に、シフトをドライブに入れた。



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