粉雪2-sleeping beauty-
『…わかってるよ、ごめん…。』


言いながら、酒をグラスに注いだ。



『…そー言ってもらえて、嬉しいんだよ。
マツに褒められたら、嬉しいの…。』


そして、少し悲しそうに笑った。



「じゃあ、何で喜ばねぇんだよ?!」


『喜んでるじゃん!(笑)』



…またこれだ…。


またこの顔で、嘘みたいに笑うんだ…。



唇を噛み締め、顔を覆った。



「…もぉ、疲れるんだよ…!」


搾り出すように言った。


千里のグラスの氷が小さく音を立て、静かな部屋に響く。


部屋中が緊張しているみたいに張り詰め、俺の声を震わせていた。



『…大丈夫だよ…?
ちょっとだけ休んだら、また一緒に元気になろう?』


「―――ッ!」



“大丈夫”


いつも千里は言う。


語りかけるみたいに優しい口調で、人を安心させるような笑顔で。



苦しかった胸が解かれるように、何かが流れ込んでくるように感じる。


千里の所為なのに、千里に安心させられる。



…可笑しいだろ?俺って…。


でもこーやって、助け合いながら生きてるんだと思ってたんだ。


お前が落ち込んだら俺が励まして、俺が落ち込んだらお前が励まして。


ずっと、こんな風に生きていくんだと思ってた。



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