【中編】彼女の嘘
「疾風くん。」


疾風?


なんで?


疾風は、こっちをようやく見た。


3ヶ月前と変わらない疾風。


「遼、久しぶり。」


ぎこちなく笑う疾風。


どうして、2人は一緒なのかな?


聞きたいことは、いっぱいあるのに聞けない。


だって.....


「遼、泣いてる。」


疾風は、私の涙を拭った。


泣かないわけないじゃん。


会いたくても、もう会えない人だから。


「遼、終わりにしよう。」


彼方がそういった。


柔らかい優しい笑顔だった。


恋愛ごっこ。


やっぱり、私じゃなくて彼方が終わらせるために行動したんだ。


居心地がいいと忘れちゃうから。


「彼方が疾風を探したの?」


「ここじゃなくて、リビングで話そうか。」
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