『証人としての能力はない』




そう思い込まれたような態度に反発したいのか。





…きっと私だって何か知ってる。



何か見ているはず。




心に強く思って、思い出したいって想いが、思い出さなきゃ、って、義務に変わった。




「…先日、先に『三島霧』に会って来ましたよ」




清沢刑事の言葉で我に返って、ハッとした。




思わず、星に?って聞き返しそうになって、危うく言葉を止める。



…昨夜星に聞いていなかったら、声を上げていたかもしれない。




そうですか、って、あまり興味のない振りをする。




警察が星と何を話したか、私は聞いていなかったから、




余計なことを口に出さないようにするのが、



一番の防衛手段だって思ったから。




「…あの夜、霧はあなた方の敷島家に泊まっていたことを白状しましたよ。


…今まで、何も覚えていないあなたの記憶が戻る事だけが、


事件解決の鍵だと思っていたんですが、これで一変しました。


…三島霧がその晩に現場にいた。


それだけで事件の真相を知る人間が増える」




古手刑事が勢い込んで、むせかえりそうになりながら喋るのを、ただ見ていた。




「…霧は何か知ってたんですか?何か話したんですか?」




私も少し身を乗り出した。




…この間、星は『霧』として証言したから、



自宅で寝てたって証言を続けていた、って聞いていた。




…今まで嘘をついていたことを見破られたのか、うちに居たことに証言を変えたんだ。




警察相手に、心証は良くないに決まってる。




なのに。




清沢刑事が、苦笑した。

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双子  記憶喪失  幼なじみ  火事  切ない