私は、大切なことを思い出せないでいる。






…何の事?





お祖母ちゃんは何か知ってるかな。




ふとそう思って、お祖母ちゃんを見つめた。




「…ね、お祖母ちゃん。


…あの火事の時さ…」





私が少し躊躇いながら口に出すと、



いつもは穏やかなお祖母ちゃんが、




表情を険しくした。





「…彗ちゃん、食事中に話すような話じゃなかろうが」





パシッと言われて、私も口を噤んだ。





ごめんなさい、と言って、




私は黙って、食事を続ける。






それっきり、食卓に会話はなかった。

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双子  記憶喪失  幼なじみ  火事  切ない