私の欠けた記憶の断片。




それが何かわからないけど、私はこれまでに、




自分でも取り戻そうって努力した。





中学の頃から図書館に通って、古い新聞の縮刷版を捲った。






火事があったのは、私が6歳の時。





だけど、いつの季節だったか、思い出せない。






だから私は、その記事をひたすら探して、



見つけるのだけで3日を費やした。






『東京都A区で民家火事』






そんな素っ気ない見出しの、小さな記事。




6月の縮刷版でやっと見つけた。






『12日、午前1時頃、東京都A区に住む会社員、敷島知治さん宅から出火し、敷島さん宅は全焼、隣家の三島さん宅を半焼する火災が発生した。




焼け跡から敷島さんと妻の法子さん、長男の星(せい)君と見られる遺体が見つかり、




星君の双子の妹、彗ちゃんは、2階から助け出され、軽症を負った。





また、隣家の三島さん宅でも会社員、三島恒雄さんと妻の洋子さんと見られる遺体が見つかった。





警察では、行方のわからなくなっている、三島さんの長男、霧(きり)君の行方を捜すと共に、出火原因を調べている』





『A区火災、放火の疑い』






『12日東京都A区、敷島さん宅を全焼した火災は、火元は1階の敷島さん夫婦の寝室と見られ、火気がないことから、放火の疑いが強くなった。





また、行方不明だった隣家の三島さんの長男、霧君は、現場近くのA川河川敷で、倒れていたところを、早朝マラソンしていた男性に発見され、保護された。




自力で脱出したのか、重度の火傷を負っていたが、命に別状はなく、入院中』

この作品のキーワード
双子  記憶喪失  幼なじみ  火事  切ない