…実際、霧さんは全てその通りに動きました。




…誤算は、彗さんに目撃されてしまったこと。




だから、霧さんは私との約束通り、



彗さんから逃げたんです。





…私は火事が起きるのを見ていました。




2階に火が移るギリギリのタイミングで、




消防車が来るように、通報したのは私です。




…思った以上の火傷を負った霧さんが、



2階から半分落ちるように降りて、



河川敷に歩いて行くのも見ていた。





…どうやら、彗さんに見られたらしい。




私はそう直感しました。





…だけど、その後、



運良く、彗さんが火事の前後の記憶を失っている事を聞いた。






…だけど、何を見たか、



何を知っているか、



いつ思い出すかわからない。






だから、霧さんを連れて黒澤家に連れて行った後、



『教育』と称して、この別荘に引き籠った。






…時効が来るまで。



霧さんには彗さんと逢う事を禁止しました。





霧さんも、黙ってそれに従っていました。





…元々この山奥から彗さんのいる東京に、




子供1人で行けるような距離でもない。





まず、この山を降りられない。






霧さんは地元の普通の子供達に交じって、



ただ、普通の子供よりもずっと頭がいい、



そんな違いだけで育ってくれました。





…そうして、私も忘れていたような頃になって。




…火事から10年が過ぎて。




私は彗さんの存在をすっかり忘れきっていた。




…まさか霧さんが、高校進学を機に、



彗さんに逢いに行くとは思ってもいなかった。



幸い、彗さんはまだ記憶を取り戻してはいなかった。




だけど、霧さんとの再会で記憶が戻る事は考えられる事だった。





…だから、私は彗さんの行動を監視しました。


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双子  記憶喪失  幼なじみ  火事  切ない