「高崎君。そういう人間なら、


今、『視線を感じる』と言う訴えがあっても、おかしな事はないんじゃないかね?


誰かが見ている。その気配を感じているに過ぎない」




「…私も彼女にはそのような説明をしましたが」



教授の言っている言葉は、精神論で言えばもっともだ。




だけど、と、高崎修吾は考える。




そこに『気配』がなければ、感覚で捉えることも出来ないのでは?




『見られている』と言う感覚も、起こらないものでは?





…今の彼女は、




かつて自分の目が見えなかったことを、覚えていない。




火事のショック状態を脱した時には手術も終わり、




『見える』ことが普通の、




誰とも変わらない、普通の人間になっていたんだから。




だから、人よりも長けている五感を、




自分では意識していない。

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双子  記憶喪失  幼なじみ  火事  切ない