突き放したくなる気持ちを、一生懸命抑える。




…星。




私の、双子のお兄ちゃん。




信じた訳じゃない。





だけど、私は気付いてしまった。




どれだけ星が、家族の思い出話をしても、どれも私は覚えていない。





あの火事の前後の記憶が曖昧なだけだって思ってたけど、




私には6歳までの記憶が全く残っていないことに、初めて気付いた。





私の知らない昔話を、一生懸命語る男を、信じるしかないって思った。




だから、私は男の背中に腕を回した。




「…星。…私の、お兄ちゃん」




私は自分に言い聞かせるように、




初めて男を心から『星』って呼んだ。

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双子  記憶喪失  幼なじみ  火事  切ない