あのアパートの部屋に入る。



どうぞ、って、私に声を掛ける星に、




私は躊躇いながら、お邪魔します、って、中に入った。





辺りを見回す。





…なんて殺風景な部屋。





ベッドと小さな冷蔵庫の他に、家具らしい家具は見当たらない。




「彗、適当に座って」




言われて、私は部屋の真ん中で正座する。




星は、ヤカンに水を入れると、お湯を沸かし始めていた。





火事の前後の記憶が、失われている。





私は今まで、修吾先生からそう聞いていた。




だけど、星の話す思い出話を、断片としても全く思い出せないどころか、




そんなことが自分にあったかすらわからない。





嫌でも認めざるを得なかった。





…私に、6歳までの記憶はない。

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双子  記憶喪失  幼なじみ  火事  切ない