だけど。



修吾先生は、どこまで知ってるんだろうか。





私の記憶は火事の前後だけじゃなく、




火事以前の6年間全ての事が失われているって。





…修吾先生のことだから、きっと知ってる。




そして、『情報』として植え付けることになるから、私には何も言わないんだ。




修吾先生は、生まれてから6年間の私を、どれくらい知ってるんだろう。




精神科の先生だから、火事の後の私の事しか知らないかも知れないけど、



どうやら私は病気をする度に、あの大学病院の患者として通院していたらしいから、




内科辺りのカルテから、私の病歴位は知ってるかもしれない。




それじゃあ、星のことも知ってるはず。





あの火事の後、星もあの病院に入院してたんだから。





…そう考えて、ふと、さっきの星の話を思い出した。




「…星。星に言われて玄関を出て、


お父さん達の寝室の窓に回った霧は、どうなったの?」




私の質問に、星は少し辛そうに顔を歪めた。




「…俺も、その辺の事情は、よくわからない。


…ただ、霧が窓に付いた頃には、もう部屋中に火が回っていたはずなんだ。


…だから俺は、霧がそのまま逃げ出したって思ってた。窓はすぐ、三島家の隣に面してたからね。


自分の家に駆け込んで、両親を助けようって気になったとしても、何の不思議もない。


だから、助かったって思ってた。…けど」

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