不思議の国のアイツ -暴走族総長純情伝-
「え、お嬢様って?」
「知らないの、柴崎さん?」
「何が?」
「この学校ってテストで入学してくる一般生徒とお金で入学してくるお嬢様がいるんだよ。」
「そうなの?」
6歳で引っ越していた私には初耳だった。
私立百合ヶ丘高等学校は、中学の先生が私の成績にあう高校をピックアップしてきてくれた中にあったひとつだった。
百合ヶ丘って名前が気に入ったことと学費が私立なのに安かったから。
ただ、実際、倍率は高かったから、本当に受かるかは微妙だった。
私・・・人生で一番頑張ったかもしれない。
「うん。だから、学費安かったでしょ。あれ、お金で入ってくるお嬢様達がとんでもない金額の寄付金をするかららしいよ。・・・まぁ~、貧乏人の私にはありがたいんだけどね。」
坂上雅が笑う。
「どうりで・・・」
「その反応だと、柴崎さんはテスト組だね。」
「うん。ただ、こっちに高校から引っ越してきたから、こっちのことに疎いんだよね。」
「へぇ~そうなんだ。じゃ、私がこっちで初めての友達だね。」
「うん。」
私と坂上雅は、お互い笑顔で握手をする。
「私のこと、ミヤビって呼んでね。」
「あっ、私は、ルミでいいよ。」
それから、私とミヤビは、しばらくお互いのことを話した。