不思議の国のアイツ -暴走族総長純情伝-
第8節:土砂降りの雨
「・・・・先に帰るね。」
マイは、そういい残して、雨に濡れながら、すぐに帰って行った。
「・・・・イケメンって状況じゃないよね・・・・。」
「そうだね・・・・。」
いつも明るいさくらと美咲も雨の中、小走りで帰っていく。
ケーキ屋に残ったのは、私とミヤビだけだった。
外を見ると、まるでいきなり夜が来たような暗さになって、雨足もドンドン強くなっている。
ザァ~・・・・
本格的に降り始める雨。
私は、ただ、ケーキ屋の中から、その雨を呆然と眺めていた。
「ルミ・・・大丈夫?」
ミヤビが、私の顔を覗き込む。
「・・・・うん。」
私は、それにうわの空で答えた。