ハニー*スパイス
蜂蜜とスパイス



それからもあたしはヘクセンハウスに通った。



岳さんはあれ以来、あたしに触れようとはしてこない。


本当に、ただそばにいることを許されただけだった。


でも、それでもいいって思う。


あたしは相変わらず、くだらない話をして。


岳さんもまたいつものように、興味のなさそうな声でそっけない返事をする。


やっぱりこれはうぬぼれかもしれないけど。


ふたりの間には、穏やかな温かい空気が流れているような、そんな気がしていた。




そして日々は過ぎて……。


街がクリスマスのイルミネーションで彩られるような……。


そんな季節になっていた。


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