かさぶたと絆創膏
*epilogue*

side雪


目が覚めると、斜め上に見慣れない顔があった。


慌てて飛び起きたそこは彼の膝の上で……。


わたしが膝を枕にしていたせいで掛けれなかった毛布を、壁にもたれた秋さんに今更だけど掛けてあげる。



彼女の看病をしに行ったお兄ちゃんは、結局帰って来なかった。



そんなお兄ちゃんに恋をしているって、秋さんの口から聞いたのは……成り行きで一晩過ごす羽目になったわたしを安心させる嘘だったのか。
それとも、現実なのか……。



わたしには真意はわからない。



例えそのどちらであったとしても、秋さんが優しい人であることは変わらない。



……わたしの報われなかった恋心を、ただ黙って受け流してくれた優しい人。



「次は幸せな恋が……訪れますように」



だから秋さんには、幸せな恋をして貰いたい。



アナタのおかげでわたしの淡く苦いばかりの恋心は……大切な心の宝物に変わりそうだから。



眠る秋さんに別れを告げ、わたしは部屋を後にした。



大好きだった先輩。

告げることは出来なかったけど、わたしはアナタの優しい笑顔大好きでした……。





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