キミの隣に

ほんのちょっと・・・

 

『譜面と音源を持って行く』

そう、言われて
困りまくった翌朝


目茶苦茶、緊張している
自分がいる。

服すら、何を着るか
迷ってしまって、
何やってんだか・・・と
朝から自分に突っ込んでいた。

子供じゃないんだから、
誰かと会うだけで緊張して、
どうすんのよ。


あ。会うってか・・・

私、顔、
あんま覚えてない。


二年近くみてないからなあ。

何となく、雰囲気は、
覚えてるんだけどなあ。


時間は約束してない。

朝か昼休み、この辺のどこかで
自分を待っててくれてる
その人を思うと
ドキドキしてくる。


前方に視線を向けると
同僚が入口付近で待っていた。

「おはよっす」

「おはようございます。」

歩く速度をあげかけた時、
携帯電話がなった。

液晶の表示をみて
鼓動が早くなる。

・・・鷹尾センセ


「はい。」

『俺。ちょっと止まって。』

慌てて出た自分に、
ぶっきらぼうな声がかけられ、
電話はすぐに切れた。

調度、横付けされた車から、
オレンジ色の髪の男が
降りてくる。


二年前と印象は、
変わらない。



 
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