いちばんの星

最低な国王様



それからは毎日使用人として黙々と働いた。



元々賢いミュリエルはどんどん仕事を覚え、少しずつ仕事を楽しいと感じ始めていた。



ラナとも大分仲良くなり、初めは恥ずかしがっていたラナも、次第に色々な話をミュリエルに話すようになっていた。



改めてラナを見ると、とても可憐な容姿をしている。



まるで人形のようだとミュリエルが言うと、ラナは顔を真っ赤にしてミルクティー色の髪をなびかせながら頭を横に振った。



ラナは街のレストランで働いている時に声をかけられた。



初めは嫌がったが、ラナの両親が「素敵な結婚相手を見つけてきなさい」と半ば強引に使用人にされたのだという。



ミュリエルが、国王と夜を過ごす事についてどう思っているのか尋ねるとラナは思いのほか前向きだった。



「国王様と一夜を過ごせるなんて素敵だって思うの…一市民の私が、よ?確かに愛する人だったら申し分ないけれど、選んで頂けたんだもの光栄だわ」



そう言ってラナは笑った。



その笑顔がまた、たまらなく愛らしかった。



< 10 / 126 >

この作品をシェア

pagetop