いちばんの星
いちばんの星 -番外編-

君に愛を誓う…



――――――


ヴェルヌとミュリエルが結ばれてから一週間がたとうとしていた。



「はぁ……」



誰もいない広い部屋。そこにミュリエルのため息だけが響き渡る。



城へ帰ってきたミュリエルは、これまでの【使用人】としてではなく【ヴェルヌの婚約者】として扱われるようになった。



まだ結婚したわけではないのだから、とミュリエルは言ったが、ヴェルヌは彼女を妃として扱っている。



「はぁ……」



今日何度目かとなる溜め息をついたあと、ミュリエルはゆっくりと視線を窓の外に向けた。



太陽の光を浴びながら、寄り添うように木にとまる小鳥。



その小鳥が空へ飛び立った時、ミュリエルはポツリと囁いた。



「私は…何をしてるの…」



この一週間。ミュリエルはろくに部屋から出ていない。
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